2024年4月20日土曜日

株式会社MizLinx(ミズリンクス)

 健全な海洋活動を支援し持続可能な未来へ

海の課題を可視化する
 我々が住む地球上で様々なものや事象が急速に可視化されつつある現代、その表面積の7割を占める海については未だ分からないことだらけという現実があります。その「海を科学的に解明することを通じて、海洋と人類の共生に貢献し、持続可能な未来を実現することを目的」に2021年、慶應義塾大学大学院在学中の学生が立ち上げたのが株式会社MizLinx(本社:東京、以下同社)です。
  同社ウェブサイトに記述される事業内容には「海洋観測システムの開発・販売/海洋データ分析支援/海洋コンサルティング/フィールドロボット開発」とあります。その中で既に商用中のMizLinx Monitorは従来機器の価格を大きく下回る価格でオーダーメイドにも対応、その機能は、高画質映像・画像、水温、溶存酸素、塩分、ph、濁度、クロロフィル、流向・流速などのデータを取得できるそうです。既に商用中のMizLinxは、福島県いわき市、静岡県沼津市、香川県東かがわ市などの養殖場でモニタリング・データ取集に供しているそうです。とりわけ沼津市における海上養殖場ではマアジの大量死に繋がった貧酸素水塊の移動を分析しマアジの大量死防止策に繋げる取り組みを推進中だそうです(PRTIMESより)。更に同社は、国内水産業のみならず海外、特に東南アジアにも活動を広げつつあるようです。
  水産業に製品・サービスを提供するのみならず、水産業の課題解決に興味を持つ研究受託の仕事も多いそうですが、同社の視線はその更に先を見据えて、ゆくゆくは気候変動に対するアプローチや海底探査をも視野に入れているそうです。  遠くの大きな目標を見据えつつ足元の課題を科学的アプローチで解決支援する若い創業者の着実な歩みは、「持続可能な未来」構築への大きな貢献につながると思います。同社の益々のご活躍を祈念しています。(AS)

2024年4月8日月曜日

株式会社ヘラルボニー

異彩を、放て。
「障害のある人」という既成概念を超えて「異彩」を世に放ち社会を変える挑戦
 株式会社ヘラルボニー(本社:岩手県、以下同社)のウェブサイトを拝見していて強く心に響くものを感じます。同社の双子の創業者で現在も共同CEOで活躍されているお二人は、「2018年7月、『自閉症の兄が幸せになる社会を、人生をかけて実現したい』という一心でヘラルボニーを設立しました」と述べておられます。
 人は皆それぞれ異なる能力、才能を持っていることは言うまでもありません。障害を有する人も同じです。同社はそれぞれの人々の持つ個性的な才能を「異彩」と名付けています。しかし、これまでは知的障害のある人の「異彩」を世に放つ手法も型にはまったものが多く、あまり大きな広がりになっていなかったように思います。
 同社は、障害を有する人の「異彩」を健常者と同じ位置づけでビジネスとして取り扱うことに着目、同社立ち上げから6年足らずですが、現在では幾つもの大手企業と提携しているばかりか今や世界でも注目され大きく羽ばたきつつあるようです。
 同社ウェブサイトの頁を繰っていくと奇麗な絵や図柄を取り入れたポーチ、クッション、ネクタイ、ビール瓶のラベル、バッグ、シャツやコートなどの衣料品等など、素敵な柄の品々が目に飛び込んできます。「Diversity & Inclusion」を耳にするようになって久しいですが、言うに易く行うに難い言葉です。それをビジネスを通じて確実に実証している会社、それが株式会社ヘラルボニーとお見受けしました。同社の益々のご活躍とご発展を祈念しております。(AS)
ANSListsで続きを読む▶︎ 

2024年3月25日月曜日

株式会社東京・森と市庭

 木育と林業再生

もっと広がれ「木育」活動!
 株式会社東京・森と市庭(2013年創業、本社:東京、以下同社)は、林業再生へ向けて木材利用の新たな可能性を探ってきたそうです。同社は、社名の通り東京の豊富な森林資源、奥多摩地域に育つ杉や檜を建材や遊具として製材・加工を手掛けています。
 林野庁データによると、1950年代半には90%以上の自給率を誇っていた我が国の木材自給率も安価な輸入材への依存度が徐々に高まり2000年頃には20%を切るところまで落ち込みました。その後少しずつ回復し、2022年には自給率40%位のところまで戻してきてはいます。しかし、森林資源は間伐、育成と管理、伐採、植樹という長年にわたるプロセスを経て林業として生かされるものですので、長期間放置された森林資源を生かし林業として再生するには、並大抵ではないほどの努力が必要となります。
 同社は、創業以来様々な努力を重ねる中で単に森林資源を採取・加工して販売するだけではなく、遊具や学び舎を通じて子供たちに木材の持つ柔らかさや自然素材としての豊かさに触れてもらうことを大切にしているようです。このことはとても大切で、子供のころから自然や木材に触れ親しみ育まれた感覚は大人になっても変わらず体に浸み込んでいる筈で、林業の大切さをも併せて理解している筈です。
 この文章を書いている2024年時点では、一ドル150円前後の円安、又安価な木材供給源の一つであった発展途上国の人件費も上昇してきていることもあり、日本の林業再生の好機でもあります。折々、同社所有の森林を解放して自然に対する子供の感性を育みつつ、国産の木材、木製遊具、木製おもちゃなどの製品を手掛ける同社の事業はとても貴重であり、同様の活動が全国に広がるとよいと思います。 同社の益々の活躍を祈念しています。(AS)


2024年3月18日月曜日

Northvolt

世界で最も環境にやさしい電池をつくる

欧州からの反撃  欧州ではEUの厳しい環境規制により自動車メーカーはEVへの移行を強く迫られており、その要となるバッテリーを経済安全保障の観点からもEU域内で調達するように促されています。これに呼応するように、スウェーデンに本社を置くNorthvolt社(2016年創業、以下同社)は、2017年に大胆かつシンプルな計画を発表しました。曰く、「世界で最も環境に優しいバッテリーセルを開発し、バッテリーの欧州供給を確立することで、エネルギーの未来を可能にする」というものです。
 爾来同社は、研究開発、製造施設、循環型製造工場への投資など積極的に実施し、製品開発分野ではリチウム電池に加えて時代の最先端を行くナトリウムイオン電池の開発に成功、又「電池から電池をつくる」という言葉に示されるように古い電池を新しい電池の原料に変える電池のリサイクルプログラムを稼働させているそうです。
 同社の革新的な製造の精神を記す同社の文章を次に引用してみます。「革命の原動力:Northvoltでは、化石燃料への依存をなくすという人類最大の課題を定義する産業革命のための持続可能な製造基盤を開発しています。ひとつ屋根の下Northvoltは、幅広いバッテリーサプライチェーン活動を社内で行うことで、バッテリーメーカーであることの意味を書き直しました。この垂直統合的アプローチにより、私たちは世界で最も持続可能なバッテリーの製造を目指しています。製造だけでなく、私たちはソフトウェアとデジタル・コンピタンスにも深く投資してきました。そして、より良く、よりスマートで、よりクリーンなバッテリーソリューションを構築するために、私たちの活動全体にこれらを展開しています。」(英文和訳:筆者)とあります。フェアトレードという言葉があるように、これまで製品原料から完成品に至るまでのサプライチェーンを辿る中で不公正・不公平な取引も内在していたことが挙げられ、これを正すべくフェアトレードが世界的で叫ばれるようになりました。この点においてもこの「革命の原動力」以下の文章には同社の強く堅い意志を感じます。
 最後に、同社ウェブサイトのトップページに記載されている同社の2030年達成目標値「石炭火力発電のセルと比較してCO2を90%削減」「リチウムイオン電池設置容量目標」をご紹介して本稿を閉めたいと思います。地球に優しく持続可能な製品づくりを通じて持続可能な社会づくりにも貢献するという強い意志を感じさせてくれる同社の益々のご活躍を期待しています。
(AS)
ANSListsで続きを読む▶︎ 
 

2024年3月4日月曜日

AGRIST株式会社

 農業課題をテクノロジーで解決!


「エンジニアが活躍し、世界の農業課題を解決する会社をつくりたい」
 このサブタイトルは
、AGRIST株式会社(本社:宮崎県、創業:2019年、以下同社)代表取締役CTOが同社ウェブサイト上に揚げるメッセージの表題です。
 確かに同社事業内容には、「ロボット」、「スマート農業」、「AI農業」という表題が並びます。
 日本の農業が抱える課題は、農業人口減少、耕作放棄地の増加、長期的に見たときに減少し続けている農業生産高、食物自給率の減少、そして他の先進諸国に比べ農業生産物の輸出量が全く増えない現実等など、が挙げられます。これら課題の解決策の一つとして、農業の大規模産業化が叫ばれますが、これらの課題を別の角度から考えてみたときに農業を面白くする、つまり作付けや収穫など現代先端技術で自動化することが出来れば、農業に携わる人の能力を、農業のハイテク化とそのためのシステム開発、SDGsなどへの積極的な取り組み、農作物の品種改良や新品種開発、事業開発、農作物の国内外の市場開拓など創造的な分野に振り向けることが出来るようになると考えられます。AGRISTのウェブサイトを拝見していて、同社の着眼点は正にここにあるのだろうと見受けしました。
 同社ビジョンには「100年先も続く持続可能な農業を実現する」とあります。日本の農業を楽しく創造的な産業に変革し続けることにより、このビジョンの達成は必ずや叶うだけでなく100年と言わず200年でも300年でも永続・発展し続けて頂きたいと思います。同社の益々のご活躍を祈念しております。
(AS)

2024年2月20日火曜日

株式会社恩田組

地球と人の文化の共存


 社員を家族のように大切にし続ける経営
 1891年創業の株式会社恩田組(本社:東京、以下同社)は、これまでの133年間曳家(建設移動工事)一筋に邁進、また建設移築・沈下修正・建物補強・杭等、顧客の要望に合わせて実施しているとのことです。
 時代と共に町並みは変わり、古い住宅やビルは壊され新しい建造物が作られていきますが、文化財は言うまでもなく住宅などの通常の建築物でさえも移動して保存あるいは他施設として使用するべきものも多くあります。
 しかし、建造物を持ち上げたり移動させるには、様々な重機類やIT機器などが豊富にある現代においても人力に頼らなければならないケースが多いとされます。それは一人で出来ることではなく、必ず力を合わせなければなりません。これまで長年にわたり特殊工法の分野で活躍してきた同社の功績の源泉は、蓄積された技術力のみならず「社員を家族のように大切にし続ける経営」(2024年2月11日付東京新聞朝刊)にあると容易に想像されます。
 地域開発による必然性あるいは、小さな国土面積で地震や台風などの比較的厳しい自然環境もあってということでしょうか、古くなった建造物を壊して作り変えることが散見される日本ですが、同社は地盤や構造物補強、移設などにより、伝統文化財の保存のみならず、建造物を長く使い続ける文化の醸成にも間接的に貢献されているように思います。  同社の益々のご活躍を祈念致します。(AS)

ANSListsで続きを読む▶︎ 

2024年2月7日水曜日

株式会社ファーメンステーション

 発酵で新しい社会を!

発酵技術を活用するとゴミがゴミでなくなる!
  2009年設立のファーメンステーション(本社:東京、以下同社)は、廃棄食品や食品製造・流通過程において無駄となる食品・食材など未利用のバイオマス由来のエタノール・発酵原料の研究開発及び製造販売を手掛けているとのこと。 さらに、同社ウェブサイトによるとエタノール生成過程で発生する発酵粕は、「化粧品の『原料』や鶏・牛の餌に活用し、さらにその鶏糞や牛糞は畑や田んぼの肥料にするなど、ごみを出さないサステナブルな循環を地域コミュニティーと一緒に作り、資源の循環を全てのプロセスに組み込み、パートナーとのコラボレーションを通じて、化粧品原料の開発や、化粧品・日用品・雑貨などの商品開発を行っている」そうです。
  昨年2023年には、同社がこれまでの研究開発で蓄積した酵素や微生物の情報をまとめた「未利用バイオマスデータシート2023 (上巻・下巻)」を有料で公開すると共に、今後は更に生産プロセスの設計も手掛け、更にバイオマスのカスケード(多段階のリサイクル)活用にまで踏み込んでいくとのことで、「発酵技術を活用することで、様々な資源が姿を変える駅のような存在になりたい、・・・中略・・・ファーメンステーションを通過すると、必ずいいことがある、前より良くなる」という同社の強い思いが一つ一つ実を結びつつあることが伝わってきます。
  同社は、2023年10月6日に経済産業省が後押しする新設の「Jスタートアップ・インパクト」30社の1社に選ばれたばかりではなく、環境や社会に配慮した公益性の高い企業に与えられる米国B LabによるB Corp認証、オーガニック世界統一基準であるCOSMOS認証、95%以上の有機原料を使用したものでなければならない米国農務省(United States Department of Agriculture)オーガニック認証などを取得しており、同社の世界への羽ばたき音も聞こえてくるようです。
 同社のウェブサイトを拝見している限りではありますが、同社のあり様はSDGsの幾つものゴールあるいはターゲットを自然体で成し遂げているようで心強く、又、発酵技術を軸にした新しい企業の在り方をも示唆しているように思います。 同社の益々のご活躍とご発展を期待します。(AS)

ANSListsで続きを読む▶︎