2025年1月20日月曜日

Climeworks AG

ネット・ゼロに向けた競争をリード 

ネットゼロ目標のための高品質な炭素除去

 過剰な二酸化炭素がもはや負担ではなく、大気中から積極的に回収・除去される資源となる世界。クライムワークス(2009年創業、スイスを本拠地とする企業。以下「同社」)の使命は、企業と個人の双方に、避けられないCO2排出量に対する責任を負い、ネットゼロ目標を達成する力を与えることです。同社の事業の中心にあるのは、大気中から直接CO₂を抽出する最先端のプロセスであるDirect Air Capture(DAC)技術であり、同社はこれを炭素除去のための最も信頼性が高く、耐久性のある方法と見なしています。

 同社は、これらのDACプラントの設計、建設、運用を行い、最高品質で効率的な炭素除去を実現しています。同社は特殊なフィルターを使用して周囲の空気から CO₂ を抽出というような単なる技術のみに留まらず、独自のエンジニアリングソリューションと、森林再生や湿地帯の再生などの自然ベースのアプローチを組み合わせた、カスタマイズされた炭素除去戦略を提供しています。この包括的なアプローチにより、企業向けに1,000トンからのCO2除去を可能にする、オーダーメイドの炭素除去ポートフォリオを作成することができます。個人も、わずか1キログラムからの炭素除去ソリューションをオンラインで購入することで、よりクリーンな未来に貢献することができます。

 透明性、誠実さ、妥協のない品質は、同社の理念の礎です。同社は、オープンなコミュニケーション、倫理的な実践、約束の履行を信じ、顧客やパートナーとの信頼を育んでいます。この卓越性へのコミットメントにより、同社は世界のトップ企業の多くから信頼を得ており、それらの企業は炭素除去に長期的なコミットメントを行っています。これらのパートナーシップは、単に炭素を除去することだけではありません。炭素除去産業を拡大し、真の気候リーダーシップを示すための共同の取り組みを表しています。

 同社は、気候変動との闘いにおける希望の光であり、すべての人にとって炭素除去をアクセスしやすく、達成可能なものにしていると見受けました。同社のさらなる成功を祈っています!(AS)

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2025年1月15日水曜日

SyncMOF株式会社

直接空気回収に新素材MOF

回収CO2活用による炭素サイクルの仕組みづくり

 ここに紹介するSyncMOF株式会社(2019年創業、本社:愛知県、以下同社)、その社名にあるMOFとは、Metal Organic Framework(金属有機構造体)を意味する同社事業の中心となる技術を指すようです。MOFとは、金属イオンと有機分子がジャングルジムのように規則的に結合し、内部にナノメートルという超微細な孔をもつ構造体です。

 MOFの孔の大きさは自由に調整可能で、CO2だけを取り込むように孔のサイズを調整できる由。これにより大気中からCO2を分離して取り除く、「直接空気回収(DAC: Direct Air Capture)」が可能となります。MOFに吸着させたCO2は60℃程度の熱を加えるとMOFから分離します。その分離したCO2を植物栽培、例えばイチゴ栽培ハウス内CO2濃度を上げることに利用すると光合成が活発になりイチゴの収穫量が増えることが実証実験で確認されているそうです。

 同社は上述のようなMOFの特性を使ったDAC装置を開発し、イチゴ栽培への貢献のみならず、DACで回収したCO2と水素からメタンガスを作る装置を使い暖房や調理に活用するエネルギー源を確立する実証実験も進めているそうです。このように大気中のCO2を回収し再利用に役立てる「炭素サイクル」の仕組みづくりの中核となるMOF技術は大いに注目したいですね。

 MOFの特性はCO2吸着に留まらず様々な気体に活用できるそうですのでその用途はとても幅広く、同社事業の軸足は顧客ニーズに合わせたMOF選定・加工と装置設計を手掛けることにあるようです。現時点の課題は大規模化にありそうですが、小規模のものを大量に使用することも解決策の一つなのかもしれません。 同社の今後の活躍を祈ります。(AS)

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2024年12月25日水曜日

株式会社WILLTEX

 電子レンジは持ち運べる!

糸一本一本が発熱する異次元の布製ヒーター 

 野山散策に出かけた時に、暖かい料理を食べるにはどうすればよいでしょう。キャンプ用品を担いでいけば造作もないことですね。しかしキャンプ道具一式持ち運び、現地でそれを設営するには,文字通り荷が重いことです。

 株式会社WILLTEX (2017年創業、本社:神奈川県横浜市、以下同社)は、提携先の株式会社三機コンシスが有する革新的繊維技術(繊維、編み、伸縮電線、すべてが独自の特許技術で構成されるこれまでにない繊維(布):FABRINICS)のライセンスを受けて、布製ヒータ内臓の肩掛けバッグを開発。レンジバッグ「WILLCOOK」は、正に持ち運べるポータブルレンジバッグと言えそうです。同社ウェブサイトによると、レトルト食材を20分で温めることが出来るそうです。ペットボトルに入ったお茶を60℃で2時間キープすることも可能とか。

 EXFIBERS(FABRINICS採用の同社製品名称)は通電により布の一本一本の糸が発熱するだけではなく、圧力や接触を感知する機能もあるそうです。同社はこれらの機能を発揮する幅広い製品づくりが可能であるとし、B2CのみならずB2B、つまり企業顧客の要求に合わせて様々な製品開発を行うようです。不思議な布地を使った商品が今後も次々と現れる予感がします。同社の益々の発展を祈念します。(AS)

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2024年12月10日火曜日

會澤高圧コンクリート株式会社

 コンクリートの力!

脱炭素社会へ向けて
 創業以来コンクリート一筋、しかし文字通りの堅い会社ではありません。ここに紹介する會澤高圧コンクリート株式会社(創業: 1935年、本社:北海道苫小牧市、以下同社)のウェブサイトには楽しい驚きが満載です。 コンクリートを軸に広げる同社事業の多様性と柔軟性には目を見張ります。

その多様な事業を支える同社のユニークなコンクリート造りを同社ウェブサイトから拝見しました。

  • 先ず筆頭に挙げたいのが自己治癒するコンクリートBasilisk:これまでコンクリート寿命は粗50年と言われてきました。この寿命を半永久的に伸ばすことが出来ないか、様々な実験と模索が続けられたそうです。その結果、同社はバクテリアの代謝の力でひび割れを自ら修復する自己治癒コンクリートの量産化に成功。世界初だそうです。このことは、単にコンクリートの寿命が伸びるだけではありません。自ずと地球資源の節約につながります。コンクリート製造頻度も大幅に減少するため二酸化炭素排出量をも減少させることにもなります。(註:コンクリート1トン製造するのに排出する二酸化炭素は0.8トンと言われるそうです。)
  • MiCon Technology: コンクリートへの廃プラ固定化技術だそうです。廃プラのアップサイクルと同時に廃プラ焼却が止まるためCO2を削減することが出来ることになります。従来の強度を維持出来る由。
  • CarbonCure:液化CO2 を生コン製造に取り込み、ナノ鉱物を生成させ、CO2の主要な排出源であるセメント量を削減する技術だそうです。従来強度を維持。

上記3点は夫々異なる特徴を有しますが、共通点はCO2削減に貢献できるということと理解しました。このCO2削減に対する同社の取り組み目標は壮大です。今年2024年4月に、グリーンアンモニア製造艦「MIKASA」の実証艦建造を進める「MIKASA製作委員会」の概要を発表。コンクリート製の同艦の上には、風力発電機とそこから得られる電気を使用してアンモニアを生成する設備が搭載されています。アンモニアを陸地に運びLED光触媒により低コストで水素燃料を作り出すプロセスも提案されています。実現すれば全プロセスをCO2排出ゼロでクリーンなエネルギー生成を可能となるそうです。「MIKASA」艦を全国各地の海域に配備すれば、クリーンエネルギーの供給源を全国展開可能となりそうです。
 更に、今年9月には米国MITと組んで50社を募り蓄電コンクリートの社会実装計画を発表。再生可能エネルギーには蓄電池は必須となります。ここまで見てきたように同社の目標は同社の根幹をなすコンクリートを使用しつつも全工程の総和としてCO2排出をゼロ又はマイナスとすることを目指しているようです。  同社は、「2019年より当社では、『脱炭素第一(Decarbonization First)』を掲げ、2022年には、2035年までに温室効果ガス(GHG=Greenhouse Gasの略)のサプライチェーン排出量を実質ゼロにする「NET ZERO 2035」にコミット」したとのこと。当面の同社の一連の活動はこのコミットメントを完遂することと理解しました。コンクリートの力の凄さを感じます。同社の今後の活躍から目を離せませんね。先ずは同社の一層のご発展を祈念しております。(AS)
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2024年11月25日月曜日

日本熱源システム株式会社

地球温暖化問題に挑み続ける

自然冷媒活用
 日本熱源システム株式会社(創業:1987年本社:東京、以下同社)は、地球温暖化対策として自然冷媒(CO2やアンモニア)を用いた産業用冷凍機やヒートポンプの開発・製造・販売を行っているそうです。

かつては、フロンが冷媒として使用されていましたが、フロンガスが地球を覆うオゾン層を破壊することが分かり国際的に規制する動きが強まりました。1985年のウィーン議定書、1987年のモントリオール議定書、2016年のキガリ改正などを経て、先進国では2009年に全廃したフロンガス(CFC)に加えて、代替フロンの一種HCFCをも2020年までに全廃、更なる代替フロンHFCも温暖化への影響が大きいことから2036年までに対2011-2013年比で85%まで削減が求められています。このような国際的な動きを背景に先駆けて同社では、2016年に自然冷媒の一つであるCO2冷媒冷凍機「スーパーグリーン」を開発し産業分野での納入実績を積み上げてきたそうです。

同社ウェブサイトには、次なる挑戦として”熱ネットワーク化”を掲げて次のような文章が記されています。

「私たち日本熱源システムが、次なる目標として据えるのが、熱のネットワーク化です。CO2冷凍機で冷却するだけでなく、これまで大気に放出していた排熱を利用して、温水を作ったり、冷凍冷蔵倉庫内のクーラの除霜に用いるブラインを昇温したり、荷捌き室を除湿するデシカント空調機の熱源に利用するシステムの導入を進めています。加えて、化石燃料を燃焼させるボイラーに代わる装置として、80℃以上の温水を生成出来る、アンモニア冷媒のヒートポンプの導入を進めていきます。熱のネットワーク化とは、冷凍機やヒートポンプを組み合わせて、余っている熱を相互に融通したり再利用したりすることで、更なる省エネを図っていくシステムです。これによって、工場などの事業所単位、地域熱供給などで大きなメリットを生み出し、本当の意味でのSDG‘sや持続可能な社会の構築が可能になります。」

冷やす、暖める、捨てていた熱を再利用する、これらの組み合わせを最適化することで地球環境への影響を最小化し、小さなエネルギーで大きな力を生み出す社会への貢献、地球温暖化問題への挑戦を続けている同社の姿勢に敬意を表します。同社の益々のご活躍を祈念しております。(AS)
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2024年11月18日月曜日

株式会社里山エンジニアリング

木から電池をつくる

里山問題の解決と持続可能な社会の実現
 21世紀に入り、我が国はもとより世界的に持続可能な社会の実現が喫緊の課題となっています。株式会社里山エンジニアリング(創業:2022年、本社:宮城県、以下同社)は、その答えの一つが日本の伝統と先端技術の融合にあるとして、江戸時代の循環社会の精神を受け継ぎ、最先端の工学と里山の自然資源を組み合わせることで、新たな循環型社会の礎を築いていくことを目指しているそうです。

現時点に於ける具体的な活動として、我が国の約4割を占める里山の木材や微生物などの資源を活用し、林業の再興や伝統技術の継承を促進するそうです。地域ごとの独特な技術を再評価し、持続可能で独自のモノづくり大国、日本の再興を目指すとのこと。また、地域との連携を深め、ものづくりの場を解放し、地域住民の創作の機会や技術リテラシーの向上に貢献して行くそうです。

同社活動の中で、当サイトANSListsが注目したのは同社によるウッドバッテリーの開発です。近年、里山の手入れ不足が深刻化し、二酸化炭素吸収量が減少、生物多様性の低下、ナラ枯れなどの問題が発生しています。そしてまた、従来、熱エネルギー源として利用されていた里山薪炭林を現代の暮らしの中で積極的に活用する機会も減少しつつあります。そこで、里山の森林維持と電気エネルギーの利活用を両立させるという目的で、薪炭林を蓄電池の材料として活用するウッドバッテリーが開発されたそうです。ウッドバッテリーは、東北大学で長年研究されてきた「両有機レドックス電池」の技術を基盤としているとのこと。文字通り木材を原材料として使用する蓄電池、その容量は鉛電池と同等、1,000回の充放電後も95%の容量を保持、高速充電を可能とし、電極に金属など枯渇しつつあるような他の自然資源を使用しないため環境負荷が低く循環型社会に適していると言えるようです。他方、里山資源の適正な管理を促進することにより、地域林業の再興、萌芽更新による木々の再生、生物多様性の回復、CO2吸収量の増加、中山間地域における雇用の創出、小規模エネルギー分散社会への貢献、などの効果を生み出せそうです。
 ウッドバッテリーは、「安価で・安全な・環境に優しい」蓄電池として、将来的には地域の木材を活用した地産地消型のエネルギーシステムを構築する可能性を秘めていると言えそうで、里山問題の解決と持続可能な社会の実現に貢献する可能性を秘めた革新的な技術ですね。 今後の研究開発の進展と普及促進に期待が高まります。同社には大きく飛躍して頂きたいとの思いをこめて、今後のご活躍を心より祈念致しております。(AS)
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株式会社アドダイス

AIがもたらす「やさしい」社会

AIで社会課題の解決に挑む
 株式会社アドダイス(創業:2005年、本社:東京、以下同社)は、「AI技術を用いて社会課題の解決に取り組む企業」と書いてしまうと堅いイメージとなりますが、同社社長伊藤氏がウェブサイトで述べておられる「安心安全な社会を実現するために、環境を自律制御するAI技術」は、とりもなおさずものづくりにやさしく、環境にやさしく、人にもやさしい社会を支えるAI技術と理解しました。

具体的なサービスとして、現在同社は、次の三つのソリューションを提供しています。

  1. HORUS AI: 製造工程における検査、検品、監視など、従来人手に頼っていた目視判断業務を、特別なプログラムを作成することなくAIで代替することで、業務効率化・省人化を実現。
  2. SEE GAUGE: 省エネAI。空調の快適性を維持しながら、AIによる高度な制御でエネルギーコスト削減とCO2排出量削減に貢献。
  3. ResQ AI: こころとからだの健康を見守るヘルスケアAI。スマートウォッチで取得したバイタルデータをAIが分析し、「未病」状態を早期に検知。健康状態の悪化を予防し、医療費削減にも貢献。

三つの中で我々ANSListsティームが特に注目したのは、人の命を救う観点から潜在的に高い社会貢献度が期待されるサービスResQ AIです。社会貢献へ向けた実証実験例として、同社が参加するJICAの支援プログラム(ResQ AI、JICAおよび米州開発銀行グループの支援を受け、ボリビアで妊産婦の健康管理に活用)や同社と国内のバス会社、損保会社が共同で居眠り運転を防止するAIプラットフォームを構築するための試験プロジェクトなどがあります。

これらのサービスの特徴はSoLoMoNという同社独自開発のAIシステムが要となっているそうで、そのサービスをSaaSとして、同社が提供するサーバーに接続さえすれば直ぐにでもサービスを受けられるところにあるとのこと。しかもAIといえば必須と思われているデーター解析専門家も不要で操作性も簡単だそうです。

同社は、既存のAIソリューションの更なる進化・発展に加え、同社ウェブ上に公開されている最新のプレスリリースやCEOブログからは、同社の積極的な事業展開の様子が伺えます。同社の益々のご活躍とご発展を祈念します。(AS)
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