2024年7月22日月曜日

株式会社フレンドマイクローブ

微生物を友達に 

微生物で工場排水の油脂を分解・消滅
 株式会社フレンドマイクローブ(創業:2017年、本社:愛知県、以下同社)は、人工物を含む多様な化合物を分解・合成できる可能性を秘めている微生物とその酵素を活用する技術を開発し社会実装する活動を行っています。

具体例として、従来の食品工場や油脂工場の排水処理の一つのプロセスである加圧浮上分離装置に替わり微生物製剤と微生物分解法による廃水処理技・・油脂分解システム「MiBiocon®- FW」・・ を開発し販売活動を行っています。この技術により、従来の排水処理のように油脂分を取り除くのではなく微生物に分解させるため、安価にかつ環境負荷を大幅に減ずることが確認されているとのこと。

同社は、2023年に大手企業からの資金調達に成功し、上述の排水中の油脂分解システム「MiBiocon®- FW」の一層の販売促進を行うとともに、更なる性能向上と適用範囲を広げるためなどの開発や、グリストラップ( 下水道に直接食用油や食物の脂肪、残飯や下処理の際の野菜くずなどが流出する事を防ぐ阻集器の一種)や生ごみ処理機に適用するためのシステム開発を進めている由。更に、動植物油分解 に留まらず、鉱物油の分解技術の研究・開発を加速し実用化に結び付けることも目指しているそうです。

環境にやさしい排水処理技術は今後益々重要になると考えられます。同社の益々のご活躍を祈ります。(AS)

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株式会社 大建

雨水をためとっと

雨水貯水地下タンクの短時間設置工事
 山国日本においては水に困ることは余りありませんが、それでも水不足による節水や災害に伴う断水に悩まされることがあります。ここでは、1974年創業で福岡に本拠地を構える一級建築事務所で土木開発事業をも営む株式会社大建(以下同社)が開発した雨水貯水地下タンク「ためっと」に着目しました。

同社ウェブサイトによると「『ためとっと』は、当社が開発した住宅地の住民さんの水道代を少しでも減らしたいと、九州大学(当時)の島谷幸宏先生にご指導いただき、開発しました。今では「ためとっと」は国連ハビタット様のご依頼で「ラオス」「ベトナム」「ケニア」に設置をし、現地の人々に安全な水をお届けしています。」とあります。

「ためっと」の詳しい説明は、同社ウェブサイトの「雨水貯水地下タンク」の頁に分かりやすく説明されていますが、「短時間の簡単な工事で大量の雨水を、飲料水並みの水質で貯水する仕組み」という点がとても重要だと思います。これまでは、地下タンクというと大工事でそのコストも高額になる印象がありましたが、同社の「ためっと」は、上述のように短期間の簡単な工事で大量の雨水を貯水するだけではなく、飲料水並みの水質を実現するとのことです。これは単に穴を掘って水が漏れないような細工をするだけではなく、たまった雨水を浄化する仕組みが組み込まれているということですね。更に、「ためとっと」が地下に設置された後、地上には元通りの土が埋め戻されますので、運動場なり駐車場なり自由に使える場となります。この優れものの「ためとっと」には同社が開発し特許登録されている技術が使われているとのことです。当該特許内容を知りたい方は此方から当該特許番号を入力して検索してみて下さい。

何故同社は「ためとっと」を開発したのか、先に記した同社ウェブサイトの「代表者からのご挨拶」にある「ただ利益を追求するだけでなく、世の中が求めていることに興味を持ち貢献することに挑戦をし続ける、社員と共に成長できる組織でありたいと考えています。」という言葉に込められた経営姿勢にあると感じます。言うに易く行うに難いことですが、「ためとっと」を開発されその成果を携えて、日本国内のみならず、東南アジアやアフリカまで足を延ばされてのご活躍、正に有言実行と拝見しました。同社代表のお考えに大いに敬意を表すると共に、同社の益々のご活躍を祈念しております。(AS)

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2024年7月13日土曜日

WASSHA株式会社

アフリカの可能性を開く力となることを目指して

Energy As a Services(EaaS)でアフリカに電気を届ける
 アフリカに電気を届けるというと、電力設備建設から送配電網の構築と考えがちですがWASSHA株式会社(本社:東京、2013年創業、以下同社)は、灯す明かりがない人々に明かりを灯すサービスを提供する事業を展開しているそうです。

 具体的には、タンザニア、ウガンダ、モザンビーク、西アフリカなどの国々の小売店(キオスク)を通じて同社が開発した太陽光充電式のLEDを使ったランタン型の電灯を一般消費者にレンタルする事業を展開しているとのことです。レンタル料金は現地で普及している電子マネーをモバイルマネーで先払いすることによりランタンに内蔵されているスイッチをリモートでオンにして明かりをつける方法がとられているとのこと。

 2022年5月時点のデータでは、同社が提携するアフリカ現地の小売店は既に5000店をゆうに超えているそうですので、2024年の今7月現在の店舗数は相当の数であろうと推測されます。今後の展開が大いに楽しみですが、同社の小売店を経由してアフリカの奥地にどんどん明かりがともされていくことが、現地の方々に明るい未来への第一歩となるのだろうと思います。同社と提携する小売店の数は益々増えると予想されますが、同社はこの小売店プラットフォームを通じてさらなる事業展開をも考えているとのこと。僭越ながら筆者の希望を交えての期待は、同社プラットフォームがアフリカに農作業改革や小規模製造業の誕生など地味ながらも大きな歩みの基礎作りからさらなる近代化へ向けて加速する力となって頂きたいと思います。

 同社ウェブサイトにあるVisionとMissionには、それぞれ「人類の『できない』を『できる』に変える」、「ビジネスを通じて社会課題を解決して、人々をエンパワーする」とあります。 途上国の方々が一日も早く希望をもって豊かになっていく、そのためにWASSHAの存在が益々輝くことを心より祈ります。(AS)

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2024年7月6日土曜日

インスタリム株式会社

 3Dプリンター製義肢装具で命を救う

必要とするすべての人が、義肢装具を手に入れられる世界づくり
 「インスタリムの事業は、青年海外協力隊員時代にフィリピンで出会った、・・・」で始まる、インスタリム株式会社(創業:2017年、本社:東京)の創業者のメッセージには心を打たれます。
 同社創業者のフィリピンでの経験が強い動機となり、4年の開発期間を経て低価格で高品質な義足の開発に成功、今は 「必要とするすべての人が、義肢装具を手に入れられる世界をつくる」をビジョンに事業展開しているそうです。
  低価格・高品質を実現した同社製義足の技術的特徴は、同社ウェブサイトによると、①機械学習(AI)の活用でプロの義肢装具士の手技を誰もが使えるようにしたこと、②義肢装具を設計するための専用CADを新規開発し設計時間の大幅短縮、③3Dプリンタと材料を義肢装具製造のために新規開発し制作時間を従来比1/10に短縮、④3D技術を活用して製造するための新しい義肢装具のデザインを開発し、従来比1/10の価格を実現したこととあります。
 同社が開発した技術はディジタルをベースとしているため、義足を必要とする人の足に関する特性データ測定などは遠隔測定可能ですし、いずれは遠隔製造をも可能とするものと推察されます。同社は、既にフィリピンとインドに活動拠点を有しており、ウクライナの戦場で足を失った人のための義足提供のための技術供与も行うとのことで、「必要とするすべての人が、義肢装具を手に入れられる世界づくり」のために確実に地歩を固めているようです。同社には「世界市場」などという言葉を使うには大変失礼な感じがしますが、「必要とするすべての人のために」世界の隅々まで義肢装具を届けて頂くよう益々のご活躍を心より祈ります。(AS)

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株式会社TBM

サステナビリティ戦略のもとに

石から、プラスチックや紙の代替をつくる
 株式会社TBM(本社:東京、以下同社)は、日本でも100%自給自足可能なほど豊富に存在する石灰石を用いることで、プラスチックや紙の代替品となる素材の研究開発に成功、2014年に特許を取得し2015年から生産をしたそうです。
 その素材の名称はLIMEX、LIMEはlimestone(石灰岩)のLIMEに「無限の可能性」を意味するXを付けて作らたとのこと。LIMEXの利用により、プラスチックや紙を製造する際に必要とする石油や木材、水など偏在性が高く枯渇リスクも高いとされる資源の利用を抑え、地球規模で資源保全に貢献できるとされています。
  同社はLIMEXの製造に留まらず、Maar(マール)と呼ぶ、新たな資源循環を創造するTBMの資源循環プラットフォーム事業も行っており、適切な分別の推進、物流効率の向上、再生材料の流通促進、廃棄物削減や環境対応、再生材料を活用した商品開発などを、資源循環の使用→回収→選別→再生→製品化の各フェーズにおけるステークホルダーの企業と共創し、同社内外のリソースを活用して具現化し続けていくとのこと。
更に、国内の100社以上のパートナーと共に、事業所から排出される廃プラスチックや、市場に流通する再生可能な資源を有価で買い取り、必要とする業者とのマッチングを提案するCirculeXと称する事業も手掛けているとのこと。同社のVisionに「過去を活かして未来を創る。100 年後でも持続可能な循環型イノベーション。」とあります。100年後を見据えて事業展開するのは素晴らしいことです。100年スパンで考えた時の一里塚になるのかもしれませんが、同社が掲げる「TBM Pledge 2030]には、「Go Carbon Negative 2030年までにカーボンネガティブを実現する 自社のバリューチェーンで排出されるCO2などの温室効果ガス(GHG)よりも多くのGHGの削減を目指します。」とあります。誠に心強いですね。同社の益々のご活躍を祈念します。(AS)

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2024年7月1日月曜日

リケナリシス株式会社

 離れていても安心

AIで課題解決
 リケナリシス株式会社(2015年創業、本社:東京、以下同社)は国立研究開発法人理化学研究所の研究成果を産業に応用する理研ベンチャーとしてスタートした会社で、動物の行動を座標化する姿勢推論AIを応用して、医学界、製薬業界、保育や看護の分野に焦点を絞り、映像によってもたらされたデータを用いたVideoAIに特化して研究開発に取り組んでいるそうです(出典:同社ウェブサイトより)。  2022年暮れに米国OpenAI社によるChatGPTという汎用のAIアプリケーションが公開されて以来、AI(Artificial Intelligence)はにわかに身近な言葉となり、その進化速度が極めて速いため、期待と不安が入り交じり様々な議論が湧き出ています。しかし、実際にはAIの開発は古くから行われており、ここに紹介するリケナリシス社も上述の通り予てより理化学研究所で研究されていたAI技術の成果をもって2015年創業しています。  一般庶民にも分かりやすく同社が販売している代表的なサービスの一つに今回取り上げた「hana-an」があります。「離れても安心」という意味を込めて作られたこのサービスは、睡眠中の赤ちゃんを見守る保育施設専用の午睡チェックサービスだそうです。このサービスでは、保育施設の赤ちゃんのお昼寝場所天井に同社が設営する小型PCと超小型カメラと保育士さんがモニターするタブレット端末があれば、赤ちゃんの午睡の実際の状況をリアルタイムでタブレット端末上でモニターできるとのことです。従い、保健士さんが赤ちゃんの傍に常時ついている必要はなく、また赤ちゃんにセンサーなどを取り付ける必要性も一切ないそうです。超小型カメラ一つで最大12人の赤ちゃんの姿を捉えることが可能で、タブレットでモニターできる保育士さんも6人まで登録可能だそうです。赤ちゃんの命をも預かる保育士さんの仕事はひと時も手を抜くことは無論できる筈もありませんが、「hana-san」のサービスが保育士さんの仕事の一部代行を可能とすることは間違いないのでしょう。  今後、AIをベースとした様々なアプリケーションが数限りなく世に出されてくると思いますが、「hana-an」サービスのように、非常に繊細な注意力が求められ且つ人の命に係わる領域におけるAIによる支援は、保育士さんのみならず介護士さん看護師さんなどが抱える長時間労働の軽減という課題解決にも有効であると思います。 リケナリシス株式会社の今後の益々のご活躍を祈ります。(AS)

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2024年6月3日月曜日

株式会社 ReBuilding Center JAPAN

文化を新しく作り直す

リサイクルの再定義
 
リサイクルという言葉を改めて調べてみると、広辞苑とAmerican Heritage Dictionaryには夫々、「資源の節約や環境汚染防止などのために、不用品・廃棄物などを再利用すること。」、「1. To put or pass through a cycle again, as for further treatment, 2. To reprocess and use again: recycle aluminum cans」とあります。我々日本人の感覚では、広辞苑の解釈が近いように思います。
 株式会社ReBuilding Center Japan(通称:リビセン、本社:長野県、以下同社)は、ウェブサイトのトップページで一度だけ「リサイクル」という言葉を使い自らを「古材と古道具を販売する建築建材のリサイクルショップを営んでいる」と述べておられますが、他の頁では一切この言葉を使わず、行き場を失ったものをレスキューして現代社会に合うように加工あるいは再配置することにより文化を見つめなおし新たな文化を創り出すことも試みているようです。同社ウェブサイトの「About Us」の頁に同社事業の考え方と方向性が簡潔に述べられていますのでここでは再掲しませんが、是非一度ご覧ください。
 筆者が同社に興味を抱いたのは、古い家の床板を取り外す作業をした後それを加工して他の用途を提案していくビジネススタイルを紹介するテレビ映像を見てのことでした。古物をそのまま奇麗にして再販するのもリサイクルならば、床板のように古くなった床板を加工して、木材として再利用するのもリサイクル、それをさらに加工して、例えばですが写真枠のようなものにして使うとか、小さな家具に作り直すのもリサイクルなのでしょう。しかし、ここで現代社会において使われる物、鑑賞される物に加工する工程が入ることで、廃棄される運命にあった材料が現代社会を生きる人々に喜ばれる物に生まれ変わることで生を吹き返す、そのプロセスは、冒頭の広辞苑に記された少々受け身な意味合いの「リサイクル」という言葉を、積極的に新しいものを生み出していくということに重点があるように変化させているように思います。これぞ真のリサイクルと思いますが、同社は、この言葉を殆ど使わず、社名にも「Rebuilding」という言葉を使用し、文字通りにそれを体現しつつあるようです。
  同社のような活動が今後全国各地で増えてくることを期待しつつ、その先頭を走る同社の益々のご活躍とご発展を祈ります。(AS)
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