2025年2月4日火曜日

トライポッド・デザイン株式会社

デザインに科学の視点を

デザインはユーザーと一緒になってこそ、デザインは真の価値を発揮する
 トライポッド・デザイン株式会社(1987年設立、本社:東京、以下同社)は、科学的根拠とユーザー中心のアプローチで、持続可能な解決策を追求していると理解しました。

 同社のビジョンは、普遍的、インタラクティブ、持続可能なデザインで未来を創造することにあるそうです。人間工学や感性工学等の研究と革新的なデザインを統合する力を強みとしているとお見受けしました。

 2005年からEXPECTOLOGY(期待学)、2010年には、Super Sensing Design(五感とセンサー技術を統合するデザイン)、2019年には超小集電(MPC)を見出し、オフグリッドでの電力供給を可能にしたことは特筆するべきことだと思います。

 同社は、包摂的な解決策を重視し、同社自身をもユーザーとして捉えているようです。 同社はモノのデザインに留まることなく、「自然が本来の姿として最大限にその生命力を活性化させる独自の作物づくりや生物育成のあり方に関するデザインを社会に提案し、より豊かで安全な食の提供を目指したい」との考えに基づき、農業・酪農の未来を見つめながら実証の試みも推進中とのこと。 同社のデザインへの包摂的なアプローチは、人とコミュニティ、モノ、地球が繋がっているという深い理解に基づき、より持続可能な未来を目指しています。同社の益々のご活躍とご発展を祈ります。(AS)
ANSListsで続きを読む▶︎ 

株式会社エリジオン

ものづくりに本当のデジタル化を

人と人、CADとCAD、過去と未来、総てを繋ぐ

 株式会社エリジオン(創業:1999年、本社:静岡県、以下同社)は、3D形状処理とデータ変換技術を専門とする企業です。製造業を中心に、データ変換と形状処理のソリューションを提供することで、環境負荷の低減にも貢献しているとのこと。

 同社の最大の強みは、異なるCADシステム間でのデータ互換性を実現する高度な技術力で、この技術を活かし、主に次の領域で持続可能なモノづくりを支援してる所にあるように思います。

  • 設計段階での環境負荷低減: CADdoctorなどのソフトウェアは、3D CADデータの検証と修正をデジタル上で行うことで、物理的な試作品の数の大幅な削減を可能とし、材料の無駄の削減、試作にかかるエネルギー消費と廃棄物の排出を抑制する。
  • 効率的な設計プロセスの実現: DFX解析プラグインは、製造、安全性、組立性を考慮した設計を初期段階で促し、手戻りを最小限にすることにより資源の浪費を減らし開発プロセス全体の効率化に繋げる。
  • データ変換における資源効率向上: 同社独特のデータ変換技術による、異なるCADシステム間でのデータ移行円滑化は、手作業による修正や再設計の必要性を最適化することにより、時間と資源の無駄を削減し、より効率的な製品開発の実現する。

 上述の中でとりわけ興味深いのは、同社の技術は、異なるCADシステムを使用する企業間の協力を円滑にし、より持続可能な製品開発を支援できるとする点です。つまり世界的な協業を促進することを容易にするとを示唆しています。トヨタ、ボーイング、ダイムラーといった世界的企業がその技術を採用していることからも、その影響力の大きさが窺えます。

 同社は、「人と人、CADとCAD、そして過去と未来」を繋ぐというビジョンを掲げ、3Dデータ変換技術を通じて、エンジニアリング分野に変革をもたらすことを目指しています。 中立かつ独立した立場から、常に最適なソリューションを提供し、環境負荷を小さくするモノづくりをサポートしているようです。同社の技術は、単に製品開発の効率を上げるだけでなく、持続可能な社会の実現にも貢献する重要な役割を担っていると言えるでしょう。
 そして最後に、同社ウェブサイトで創業者の方が二つの創業理由(⓵日本産業の新たな柱を発展させること、そしてそのためには⓶優秀な人に本気で凄い仕事をしてもらうことにある)を述べておられる文章の最後に「非凡な人が才能をフルに発揮して素晴らしい仕事をすることは、その人個人にも会社にも日本にも人類にも幸せなことであり大切なことだと思います。私は「非凡を集めて非凡をなす」経営を実現したいと思います。」と締めくくっておられます。素晴らしいお考えに深く敬意を表すると共に、同社の益々のご活躍を祈ります。(AS) 
ANSListsで続きを読む▶︎ 

2025年1月27日月曜日

inQs株式会社

エネルギー収集を再構想する

世界初の発電光素子
 inQs株式会社(本社:東京、創業:2011年、以下同社)は、革新的な光発電技術でエネルギー生成に大きな変革をもたらしているようです。具体的には、無色透明なSQPVガラス低照度SQ-DSSC素子の開発ですね。前者は、単に発電するだけではなく、遮熱性を提供し、建物、自動車、農業施設の窓に設置でき、これらを電力源に変えるそうです。後者は、世界初の発電素子で、室内の低い光の下でも発電し、温度、湿度、気圧などのセンサーのようなIoTデバイスの電源として最適だそうです。

 
  上述の開発製品の適応市場は極めて広いと考えられますが、その主な領域を幾つか列記してみます。
・エネルギーハーベスティング: 低電力デバイス向けのエネルギーハーベスティング市場
・スマートビルディングとスマートシティ: (SQPV技術)この技術を適用したガラスによりエネルギー効率の高い建物を構築
・自動車産業: (SQPV技術)発電のための自動車の窓への組み込み
・農業: (SQPV技術)農業施設でのガラスに使用することにより、効率を向上させ、植物の成長をサポート可能
・IoT: (SQ-DSSC技術)IoTセンサーとデバイス用の電力供給 
・産業ソリューション: 産業用モニタリング用の防爆無線通信デバイスを提供
・材料関連市場: スマートファクトリーやプラントの室内環境制御システムのサポート

  同社のSQPVガラスは、2024年にグッドデザイン賞を受賞しましおり、又CES 2024イノベーションアワードで、スマートシティ部門で「Best of Innovation」賞を、スマートホーム、サステナビリティ、エコデザイン&スマートエネルギー部門で「Honoree」を受賞しています。
  inQsは、日本および国際市場で幅広い応用が可能な独自の光発電技術を使用して、持続可能な未来を創造することに焦点を当てた企業と見受けました。同社の益々の活躍を祈念しています。(AS)
ANSListsで続きを読む▶︎ 
 

つばめBHB株式会社

 世界にアンモニアを、持続可能な社会を

分散型アンモニア生成時代の夜明け
 想像してみてください。農業、エネルギー貯蔵、そして様々な産業プロセスに不可欠な、重要な資源が、最も基本的な要素だけを使って、どこでも生産できる世界を。これこそが、つばめBHB(本社:神奈川県横浜市、創業:2017年、以下同社)が実現しようとしているビジョンです。1世紀以上にわたり、アンモニア生産は、特定の資源と複雑な輸送ネットワークを必要とする、大規模な集中型プラントに依存してきました。しかし、これが変わるとしたらどうでしょう?

東京科学大学(東京工業大学と東京医科歯科大学の合併後の名称)の革新的な頭脳から生まれたベンチャー企業である同社は、この状況を変革しようとしています。同社は、水、空気、電気だけでオンサイトでアンモニアを生産できる画期的な技術を開発しました。これは、アンモニアが遠隔の山岳地帯、孤立した島々、さらには資源の乏しい荒れ地でも生産できることを意味します。産業界はもはや従来のプラントの制約に縛られることはありません。

その秘密は、低温・低圧でのアンモニア合成を可能にするエレクトライド触媒にあります。これは、エネルギー集約型のハーバー・ボッシュ法とは対照的であり、つばめBHBのアプローチを革新的であるだけでなく、環境に優しいものにしています。同社は、必要な場所に展開できる小型プラントの開発に注力しています。このオンサイト生産により、地産地消が可能となり従来の遠距離運搬が不要となります。そして電力も再生可能エネルギーで賄うことで二酸化炭素の排出の懸念もなくなります。このようにして、同社は従来のアンモニア産業に、前例のないレベルの柔軟性と二酸化炭素削減効果をもたらします。

同社の活動は単なるコンセプトではありません。同社はクリーンテクノロジー分野で認められたリーダーです。同社は、その影響と革新性を強調する**「2025年グローバルクリーンテック100」と「インド太平洋気候テック100」**に選ばれています。横浜に拠点を置く同社は、分散型で柔軟性があり、環境に優しいアンモニア生産を提供することで、より持続可能な社会の創造に取り組んでいます。同社の技術は産業界に革命を起こし、コミュニティが必要なものを必要な場所で生産できる能力を強化します。つばめBHBは、アンモニアの生産方法を変えるだけでなく、より持続可能で回復力のある世界への道を切り開いています。同社の益々のご活躍を祈ります。(AS)
ANSListsで続きを読む▶︎ 

2025年1月20日月曜日

Climeworks AG

ネット・ゼロに向けた競争をリード 

ネットゼロ目標のための高品質な炭素除去

 過剰な二酸化炭素がもはや負担ではなく、大気中から積極的に回収・除去される資源となる世界。クライムワークス(2009年創業、スイスを本拠地とする企業。以下「同社」)の使命は、企業と個人の双方に、避けられないCO2排出量に対する責任を負い、ネットゼロ目標を達成する力を与えることです。同社の事業の中心にあるのは、大気中から直接CO₂を抽出する最先端のプロセスであるDirect Air Capture(DAC)技術であり、同社はこれを炭素除去のための最も信頼性が高く、耐久性のある方法と見なしています。

 同社は、これらのDACプラントの設計、建設、運用を行い、最高品質で効率的な炭素除去を実現しています。同社は特殊なフィルターを使用して周囲の空気から CO₂ を抽出というような単なる技術のみに留まらず、独自のエンジニアリングソリューションと、森林再生や湿地帯の再生などの自然ベースのアプローチを組み合わせた、カスタマイズされた炭素除去戦略を提供しています。この包括的なアプローチにより、企業向けに1,000トンからのCO2除去を可能にする、オーダーメイドの炭素除去ポートフォリオを作成することができます。個人も、わずか1キログラムからの炭素除去ソリューションをオンラインで購入することで、よりクリーンな未来に貢献することができます。

 透明性、誠実さ、妥協のない品質は、同社の理念の礎です。同社は、オープンなコミュニケーション、倫理的な実践、約束の履行を信じ、顧客やパートナーとの信頼を育んでいます。この卓越性へのコミットメントにより、同社は世界のトップ企業の多くから信頼を得ており、それらの企業は炭素除去に長期的なコミットメントを行っています。これらのパートナーシップは、単に炭素を除去することだけではありません。炭素除去産業を拡大し、真の気候リーダーシップを示すための共同の取り組みを表しています。

 同社は、気候変動との闘いにおける希望の光であり、すべての人にとって炭素除去をアクセスしやすく、達成可能なものにしていると見受けました。同社のさらなる成功を祈っています!(AS)

ANSListsで続きを読む▶︎ 

2025年1月15日水曜日

SyncMOF株式会社

直接空気回収に新素材MOF

回収CO2活用による炭素サイクルの仕組みづくり

 ここに紹介するSyncMOF株式会社(2019年創業、本社:愛知県、以下同社)、その社名にあるMOFとは、Metal Organic Framework(金属有機構造体)を意味する同社事業の中心となる技術を指すようです。MOFとは、金属イオンと有機分子がジャングルジムのように規則的に結合し、内部にナノメートルという超微細な孔をもつ構造体です。

 MOFの孔の大きさは自由に調整可能で、CO2だけを取り込むように孔のサイズを調整できる由。これにより大気中からCO2を分離して取り除く、「直接空気回収(DAC: Direct Air Capture)」が可能となります。MOFに吸着させたCO2は60℃程度の熱を加えるとMOFから分離します。その分離したCO2を植物栽培、例えばイチゴ栽培ハウス内CO2濃度を上げることに利用すると光合成が活発になりイチゴの収穫量が増えることが実証実験で確認されているそうです。

 同社は上述のようなMOFの特性を使ったDAC装置を開発し、イチゴ栽培への貢献のみならず、DACで回収したCO2と水素からメタンガスを作る装置を使い暖房や調理に活用するエネルギー源を確立する実証実験も進めているそうです。このように大気中のCO2を回収し再利用に役立てる「炭素サイクル」の仕組みづくりの中核となるMOF技術は大いに注目したいですね。

 MOFの特性はCO2吸着に留まらず様々な気体に活用できるそうですのでその用途はとても幅広く、同社事業の軸足は顧客ニーズに合わせたMOF選定・加工と装置設計を手掛けることにあるようです。現時点の課題は大規模化にありそうですが、小規模のものを大量に使用することも解決策の一つなのかもしれません。 同社の今後の活躍を祈ります。(AS)

ANSListsで続きを読む▶︎ 

 

2024年12月25日水曜日

株式会社WILLTEX

 電子レンジは持ち運べる!

糸一本一本が発熱する異次元の布製ヒーター 

 野山散策に出かけた時に、暖かい料理を食べるにはどうすればよいでしょう。キャンプ用品を担いでいけば造作もないことですね。しかしキャンプ道具一式持ち運び、現地でそれを設営するには,文字通り荷が重いことです。

 株式会社WILLTEX (2017年創業、本社:神奈川県横浜市、以下同社)は、提携先の株式会社三機コンシスが有する革新的繊維技術(繊維、編み、伸縮電線、すべてが独自の特許技術で構成されるこれまでにない繊維(布):FABRINICS)のライセンスを受けて、布製ヒータ内臓の肩掛けバッグを開発。レンジバッグ「WILLCOOK」は、正に持ち運べるポータブルレンジバッグと言えそうです。同社ウェブサイトによると、レトルト食材を20分で温めることが出来るそうです。ペットボトルに入ったお茶を60℃で2時間キープすることも可能とか。

 EXFIBERS(FABRINICS採用の同社製品名称)は通電により布の一本一本の糸が発熱するだけではなく、圧力や接触を感知する機能もあるそうです。同社はこれらの機能を発揮する幅広い製品づくりが可能であるとし、B2CのみならずB2B、つまり企業顧客の要求に合わせて様々な製品開発を行うようです。不思議な布地を使った商品が今後も次々と現れる予感がします。同社の益々の発展を祈念します。(AS)

ANSListsで続きを読む▶︎